モンスター・クレーマーやら、モンスター・ペアレンツやらが巷の話題に上って久しいのですが、そうした過大要求に対して、提供者の疲弊がニュースになるにつれ
「お客様は神様です、という言説はそもそも違う・間違っている」
ということが話題になります。
この言葉の元ネタは、三波春夫さんとされていますが、
「芸事、芸能は、神に対して捧げられた神事からスタートしているので、演じるにあたってはそうしたおごそか・真摯な気持ちをもって臨むのだ」
という演者のスタンスを問うものであって、
「客が神のようにふるまっていい」
という意味ではないということも、すでに充分知れ渡っているでしょう。
「お客様は神様」という言葉は、ある意味、事態の本質をぼやかしている「幻惑ワード」であるかもしれません。
そう!本当に起きているのは、「お客様は神様だと思う人たちが増えている」のではないのです。
「俺様だ!おれさまなのだ!」
と考えている人間が、とっても増えているというのが、ぶっちゃけの真実ではないでしょうか。
これまで、その視点について指摘した人はあまりいなかったのですが、いよいよ論説も出て参りました。
「お客様は神様」を振りかざすモンスター客が増えている
https://mi-mollet.com/articles/-/15552・・・・・・タイトルがちょっとミスリードを誘いますが、中身は興味深いです。ぜひ元ネタをどうぞ。
この方の論考のするどいところは、2つの新たな視点を盛り込んでいるところ。
■ どうも、モンスターに加担するやつは、こちらの側にもいるらしい。
■ お客様が神様という事態は、そもそも存在しなかったのでは?
この2つの視点は、まったくもってその通りの部分があり、斬新です。
まず、誰か提供者がモンスタークレーマーの餌食になっている場面を想像してください。
そこで、本来は味方のはずの、同僚や仲間が、彼や彼女だけに任せたり、見て見ぬふりをすることは、思い当たる場面ではないでしょうか。
けして、従業員全員で別室へ連れて行って、管理職が何人も出てきて取り囲んで話を聞く、なんてことはやってくれません。
そう!敵は味方の中にもいることが多いのです。
そして、逆に、特に高度成長期から80年代・90年代ぐらいまでは、消費者は「企業の食い物」になっていたことが大半でした。
顧客満足度、なんて言葉はつい最近出てきた言葉です。
企業の側が、都合のよさげな「顧客満足」なんて視点を持ち出したから、顧客はそれにノッてきたという部分もあるかもしれません。
そこで、この記事主の加谷さんは喝破します。解脱者・武庫川も、これを読んだ瞬間ニヤリと笑わざるを得ませんでした。
それはこんな視点です。
”日本はもともと「お客様は神様」という文化なのではなく、
顧客なのか、サービス提供者なのかに関わらず、
自分が有利な立場だった場合には、
相手に対して暴力的、威圧的に振る舞おうとする人がかなりの割合で存在する”
これ!これよ~、これこれ。
日本人は、実は「おれ様」なのです。それを使える瞬間を見逃さず、相手の弱点を突いていきます。
そして、そういう人たちが、体面を気にせず直接的に行動を起こすようになってきたのが、現代ということです。
武庫川は、「これから時代は戦国時代の様相になる」と常々考えています。
古いシステムや、規制、伝統やしばりのようなもの、あるいは「昔はうまくいっていた体制」などがきしみはじめると戦国時代はやってきます。
古い体制や習慣を否定し、おのれの才覚と暴力的実力でものごとを推し進めようとする
下克上
的な発想が、これからはどんどん世界的にも増えてゆくでしょう。
もう、
「おまえさま・・・」
とやさしく語りかけてくれる市原悦子さんはいません。
おれ様たちは、どんどんとやっかいな存在になることでしょう。
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