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2025年5月1日木曜日

 走れ メロスくん  (ChatGPT自動生成)

 


 走れ、メロスくん ~秒速のリツイート~


メロスは激怒した。必ず、かのSNS中毒者を許さぬと決意した。

メロスには、現代社会がわからぬ。いや、わかりたくもなかった。メロスは“ツイ廃”である。スマートフォンとWi-Fi、そして140字さえあれば生きていけると信じていた。現実は曖昧で、誰も本音を語らない。しかしネットは違う。そこには毒と真実と愛が混在していた。いや、時にはそのすべてが、140字の中に圧縮されていた。

だが――今、その秩序が破壊されようとしている。

すべては「ディオ」のせいだった。十万人のフォロワーを持ち、「バズこそ正義」「真実はRT数で決まる」と叫び続ける、インフルエンサー界の異端児。

メロスの親しいフォロワーが、ある日、こうつぶやいた。

@sari_bot:ディオに晒されて、学校でいじめられました……ネット、こわい。

サリは、メロスが最も信頼するフォロワーの一人だった。かつて自分が燃えたとき、最初にDMをくれたのも、彼女だった。

「人の心をなんだと思ってるんだ……!」

メロスは激怒した。これはもう、リプで済む話ではない。現実で、直接対峙しなければならない。

「リア凸するしかない」

メロスはディオの居所を調べた。意外にも、簡単だった。本人がnoteに事務所住所を載せていた。

「渋谷か……」

メロスの住む町は、福島の小さな港町。渋谷まで新幹線で約五時間。往復三万円。だが彼は迷わなかった。

「行って、問いただして、そして帰ってくる。たとえ、スマホの充電が切れようとも」


旅の準備は整った。モバイルバッテリーは三つ。着替え、MacBook Air、AirPods、そして、なにより――スマホ。心臓のように大切なこの端末を、メロスは胸ポケットにしまった。

「もし、俺が帰ってこなかったら……」

メロスは独りごちた。だが、それを本当に言うべき相手がいる。

カズオ。

十年来の相互フォロワー。実は、まだ一度も会ったことがなかった。だが、炎上の夜も、深夜のスペースも、DMでの告白も、全部、カズオだけが味方でいてくれた。

メロスは電車に乗る前に、カズオにメンションを飛ばした。

@Melos_kun:急な話でスマンけど、今から会える? 話したいことがある。

数分後、通知が来た。

@Kazuo1991:もちろん。駅前の喫茶店でどう?

その日、カズオは意外にもすぐ見つかった。プロフィール画像に似ていた。いや、それ以上に、目が優しかった。

「初めまして、カズオさん……」

「いや、もう『さん』なんてやめようぜ。初めて会った気がしないんだ、なんか」

二人はすぐに意気投合した。だが、メロスの顔が次第に曇ってゆく。

「実は……ある男にリア凸しに行く。渋谷のディオってやつに」

「え……あの、ディオに?」

カズオは目を見開いた。

「危ないぞ。あいつ、ただの炎上屋じゃない。何人も人生を壊されたって話を聞いてる。メロス、お前の言葉が正しくても、通じない相手かもしれない」

「それでも、行かなきゃならないんだ」

メロスは拳を握った。

「人が、人を“数字”で測るような世界を、俺は認めたくない。サリのために、いや、それ以上に、俺たち全員のために……俺は、あいつに“心”をぶつけたい」

カズオは黙っていた。やがて、小さくうなずいた。

「……だったら、俺を信じろ。もしお前が帰ってこなかったら、お前のアカウントは俺が守る。TLが誹謗中傷に染まったら、俺が消す。お前の言葉を、責任持って引き継ぐ」

「ありがとう……カズオ」

握手を交わす二人の間に、言葉は要らなかった。

「ただひとつだけ約束してくれ。絶対に、帰ってこい」

「ああ、約束する。必ず、戻る。どんな炎上にも、負けずに」

そしてメロスは、旅に出た。


東北本線の車窓から、春の陽射しがこぼれていた。駅弁の味も、なんとなく上の空。メロスの脳内は、これから対峙するディオの言葉への想像と、カズオの言葉の重みとでいっぱいだった。

東京までの五時間は、まるで五分のように過ぎた。

しかし――運命は、彼を試す。

「えー、ただいま、東北新幹線は大宮駅付近で人身事故の影響により、運転を見合わせております」

ざわつく車内。スマホの電源残量は48%。メロスは焦った。このままでは、約束の時間に間に合わない。

「迂回ルートを探すしかない……」

乗り換えアプリを開くも、接続が不安定。やむなく駅員に尋ね、ローカル線からのルートを選ぶ。Wi-Fiも通じない山間の路線。そこは現代の“無の空間”だった。

誰もリツイートしてくれない。トレンドも分からない。まるで、世界と切り離されたような感覚。

それでも、メロスは心で叫んでいた。

「俺は、帰ると誓ったんだ。カズオの信頼を、サリの声を、裏切るわけにはいかない!」

肩にかかるリュックの重さ、汗でぬれたTシャツ、そして、徐々に落ちてゆくスマホのバッテリー。だが、それらすべてが、メロスの“覚悟”を証明していた。


渋谷は、まばゆかった。

タワレコの巨大スクリーン。ハチ公前の混雑。そこは現実というより、現実の“演出”でできた街だった。誰もがスマホを手に、誰もが誰かを演じていた。

そして、その中心に――ディオがいた。

「おい、君が……メロスか?」

声をかけてきたのは、想像よりも小柄で、整った顔の青年だった。派手なパーカーにスニーカー。が、目だけが異様に冷たかった。冷たく、計算高く、数字を測るスカウターのように。

「サリちゃんの件、覚えてるか?」

「もちろんだとも。あれ、バズったよな。炎上とバズは、紙一重。彼女は“燃えやすい素材”だったってだけだ」

メロスの胸の中に、炎が立った。

「人の心を、燃料にするなッ!」

「じゃあ聞くがな、正義とは何だ? 誰がその“心”とやらを測る? リツイート数か? ファボか? あるいは、君の主観か?」

メロスは言った。

「心は、信じるものがあれば、生きている。俺には、信じてくれる人がいる。目に見えなくても、数字にできなくても」

「……ほう」

ディオは鼻で笑った。

「では、その“信じる人”の前に、戻ってみせろ。ここから戻れたら――私の負けを認めよう」

言い捨てて、ディオはスマホを掲げた。

「さあ、ライブ配信は開始してる。10万人が見てるぞ。君の“心の力”とやら、試してみたまえ」


帰還の道は、絶望的だった。

東北新幹線は未だ復旧せず。予約していた夜行バスは運休。しかもスマホのバッテリーは残り14%。一桁の数字が目前だ。通知を確認すればするほど、命が削られる。

それでもメロスは、走った。

「戻らなきゃ。カズオが、待ってる。サリが、信じてくれた。みんなが……」

駅前の雑踏をかき分けて、夜の東京を駆け抜ける。山手線を諦め、地下鉄を乗り継ぎ、北へ、さらに北へ。

やがてTwitterに、一つのハッシュタグが浮上する。

#メロスは帰るってよ

それは、カズオが作ったタグだった。彼は叫んでいた。

「あいつは帰ってくる! SNSに負けずに、帰ってくる! 俺たちは、待つ!」

そして、メロスのフォロワーたちが応えた。誰もが、#メロスは帰るってよ のタグで応援の声を送り始めた。

「信じてる」「走れ」「電車動いて」「バッテリー持て」「お前がヒーローだ」

通知が鳴るたび、スマホの残量は減る。だがそのたびに、メロスの脚は速くなった。

彼の汗は涙のように流れ、足は痛みで悲鳴を上げた。それでも走る。

「俺は……人間を、信じてる!!」


福島駅に着いたのは、夜明け直前だった。

メロスの足は、もはやまともに動かず、駅の階段を這うように登った。スマホの画面は真っ暗。ついに、電源が落ちたのだ。

それでも彼の耳には、まだフォロワーたちの声が残っていた。

「信じてるぞ」「間に合え」「お前が俺たちの希望だ」

脳裏に浮かぶカズオの顔。サリの震えた声。

メロスはふらつきながら駅を出た。夜明けの風が、彼の髪を撫でる。

「あと少し……!」

喉は乾き、呼吸は荒れ、視界がかすむ。

だが、そのときだった。前方に、ひときわ目立つ姿が見えた。スマホを片手に、立ち尽くす男――カズオだった。

「メロス!!」

その声に、全身の細胞が目を覚ました。

「カズオッ!!」

二人は駆け寄り、抱き合った。言葉にならなかった。ただ、握った手の中にすべてがあった。

「……よかった。本当に、よかった……」

「約束、したからな……」

「間に合ったさ。もうすぐ、6時だ。ギリギリだったけど、君は間に合った」

カズオの声は震えていた。メロスは、その震えに初めて“現実”の重みを感じた。


数時間後。カズオの家のWi-Fiでスマホを充電したメロスは、Twitterを開いた。

トレンド1位に、タグがあった。

#メロスは帰ったってよ

そして、ディオからの投稿が目に入った。

@Dio_PR:メロス氏、現実でもSNSでも勝った。私は負けたよ。

驚いたことに、ディオは素顔で動画を投稿していた。あの冷笑的な表情ではなく、静かに語るような目で。

「僕は人の感情なんてものは、ただの“演出”だと思っていた。だが、あの男は違った。燃えることも、叩かれることも怖れず、ただ“誰かのため”に動いた。 もしかしたら、それこそが“本当のインフルエンス”なのかもしれない」

メロスは何も言わなかった。ただ、その投稿に「いいね」だけを残した。

「ねぇ、メロス」

サリからのDMが届いていた。

「私、もう一度信じてみようと思う。SNSも、人も」

メロスは返信を打った。

「うん。信じていい。だって、俺が信じてる人たちは、ちゃんと信じてくれたから」


数日後、メロスはアカウントの名前を変えた。

旧:@Melos_kun
新:@Melos_ran_and_returned

そのプロフィールには、こう書かれていた。

「信じるってことは、帰ってくるってこと。」

フォロワー数は爆発的に増えていた。だが、彼はその数字にもう怯えなかった。そこにいる“誰か”を信じる力を、彼は手に入れていた。

そして、カズオとふたりで録ったスペース配信の最後に、メロスはこう言った。

「SNSなんて、ただのツール。でも、そこに“人”がいれば、信じることも、友情も、本物になる」

カズオが微笑んだ。

「なあ、メロス。お前、走ってよかったな」

「お前が待っててくれたから、俺は走れた」

朝焼けの光が、ディスプレイを照らしていた。


人は、140字で絶望し、140字で救われる。

誰かの言葉が、誰かの命を左右する時代に。

走れ、すべてのメロスたちよ。

怒って、泣いて、信じて、裏切られて、それでも――

走れ。そして、帰ってこい。


==========

 これは全部ChatGPTが自動で生成した「走れメロス」のパロディだが、

◆ 渋谷に行く理由ははっきりしているが、
◆ なぜ帰ってこないといけないか、よくわからん

という部分はすこし脇においておいても、全体の流れと展開は、とくに論理破綻はしていない。

 オリジナルの走れメロスのように「何らかの権力的なものに、命を握られている」といった切迫した状況さえ与えてやれば、人工知能は、さらにきちんと成立した話を作ってくると思われる。

 もともと骨組みとしての「走れメロス」があるので、それを現代風に変換してゆけば、ある程度の話は作りやすいとは思うが、それでも自動生成でこれだけ全体の流れが整った文章が作れるというのは脅威である。

 「走れメロス」のパロディを中学生や高校生に作らせてみる、という活動を学校などで試してみることがあるとは思うが、

◆ ChatGPTが作ってきた文章は中学生よりは遥かに上
◆ 高校生の大半よりも上、一部の才能がある高校生だとどっこいどっこい

であるレベルだろう。

 職業作家であれば、もう少し深みのある小説を書いてくると思うが、基盤となるプロットを「思いつくことができる」能力で言えば、これも同等と考えても差し支えないだろう。

(プロはさらに上手に仕上げてくる、という点で差異がある)


 さて、これだけの能力がある人工知能は、人類の知恵の味方となるのか、それとも敵となるのか……。

 その答えは、近い内に知ることができるのかもしれない。


(了)


★人類にはまだ「はしょれメロス」という名作を生み出す力が残っている。

 人工知能が「はしょれメロス」のセンスと文才に勝利するのは、まだ先かもしれないが、ああ、セリヌンティウスしたいものである。

太宰治 「良いね ひとつ」

 


私は、また、生き返ってしまった。
まことに、厄介な話である。
昭和二十三年の玉川上水で息絶えたはずのこの身が、何の因果か、令和五年の世にふたたび目を覚ました。世はまさしく情報の奔流、あらゆることが冗談のように軽く、そして速い。驚いた。否、うろたえた。私はそういう男である。

再び地上に現れた私は、まず「スマートフォン」なる不可思議な道具を手にした。掌の中に世界が入っており、人々はみな、そこにむかって喋り、怒り、笑い、媚び、さらには泣いていた。
かつて、私は文章を書き、それを活字にして書店に並べ、読者が数日をかけて一冊を読み切り、感想を手紙でよこす。そんな牧歌的で、手間暇のかかる時代に生きていた。
いまは違う。文章は、即時に投げつけられ、即座に評価され、翌日には忘れられる。
しかもその「評価」とやらが、「いいね」なる数値であるというのだから、私は泣いた。いや、冗談ではなく、本当に泣いた。

私はTwitterという場にて、ひとつ文章を投稿した。たったの140字。思えば、檀くんに「もっと短く書け」と言われたこともあった。なるほど、時代は私を追い越していたのだ。

この世は冗談でできている。冗談が通じなければ、死ぬしかない。

いいね。ゼロ。
フォロワー。二名。うち一名は、アニメの少女の姿をしていた。私は再び泣いた。
この現代においては、もはや文学などというものは、存在しておらぬのではあるまいか。
猫の寝顔、喫茶店のパンケーキ、少女の自撮り――そういった画像たちが、万の単位で「いいね」を得ている。そこに私が、文字だけの呟きで挑んだのだから、むしろ滑稽であった。滑稽すぎて、立っていられなかった。

友人の青年――Yとしよう――が言った。
「太宰さん、もっとバズる工夫しなきゃ。今はAIでも太宰っぽい文章書けるんすよ。負けてますよ、それ」
私は、黙って酒を呑んだ。缶チューハイという安酒である。太宰治、令和にて缶チューハイ。これ以上の屈辱があろうか。
酔いがまわるにつれて、私は自撮りを投稿した。
薄暗い部屋で、魂の抜けた私の顔が、画面越しにこちらを見つめている。
通知音が鳴った。

「キモい」
ただ、それだけだった。

私は、スマートフォンを便器に叩きつけた。
若き日の自殺未遂より、いくらか進歩したかに見えるが、内実はまるで変わらぬ。
尊厳の残骸を拾い集めながら、私は昭和という時代を、あらためて恋しく思った。

だが、私はまだ投稿している。
深夜のコンビニの灯りのように、誰にも見つけられない小さな光を、ともしている。

《生きることは、評価を待ち続けることでした。
誰にも褒められず、誰にも罵られず、ただスクロールされていく人生の中で、せめて最後のこの投稿だけは、誰かの心に引っかかればと思います。
さようなら。》

それが私の、最期の投稿だった。
いや、最期にしたかったのだ。
本当は、死にたくなどない。ただ、「誰かに見つけてほしかった」のである。

いいね。ゼロ。
コメント。ゼロ。
通知。来ず。

画面が暗くなった。そこに映る自分の顔が、あまりに哀れで、思わず笑ってしまった。
生きていた頃の私と、なにも変わっていなかった。

この世界には、誰もいない。
皆がそれぞれ、自分の投稿だけを見ている。人の文章など、誰も読んではいない。
いや、正確に言うなら、皆が“読まれない苦しみ”の中にいる。私だけでは、なかったのだ。

私は、その黒い画面に、自分の顔を見た。
滑稽だった。情けなかった。
だが、私は、どうしてもこの惨めさを残しておきたかったのだ。

太宰治、令和のSNSにて沈没す。
この文章が、デジタルの海を漂い、誰かの目に一瞬でも触れたなら、それが供養である。

私はまた、書く。
きっとまた、誰にも読まれない。
だがそれでも、書く。

なぜなら私は、まだ“バズって”いないのだから――。


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 太宰治をChatGPTに憑依させて書かせた小説だが、まあ絶妙に太宰の屈折した感じは描き出せているのではないだろうか。

 正直、ほんものの太宰はもっと「ややこしい」人間ではあるが、現代に蘇った太宰がSNSの承認欲求に悶々とするのは、「十分ありえそう」に思える(笑)

 もう少したくさん太宰の小説を読み込ませれば、文体も近づけられるような気もする。

 ぜひ、文豪好きなみなさんも、あなただけの太宰を呼び出してみてほしい。

 次回は「人間失格 〜だって人工知能だもん〜」でも書かせてみようかしら(^^;