ひきこもり、と呼ばれる状態にあるものが、また罪を犯したとのことで、世間は騒がしいようです。
ひきこもり、ニート、無職、ネット中毒など、それに関連するさまざまなワードや状態が渦巻いて、なんだかドロドロと屈折した雰囲気をかもし出しているのも、恐ろしい今日このごろ。
というわけで、今回は、世をトキめく「ひきこもり」の世界について、解脱を交えながら解説してみようと思います。
さあ、この文章を読んでいるネット上のあなた、ひきこもりについて理解を深め、そこから何がしかの悟りを得ることができるのでしょうか?乞うご期待!
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俗世を離れて、誰とも会わず、どこともコミュニケーションせず家に立てこもっている人、それを「ひきこもり」と称するようですが、そんな彼らを現代の修行僧のように見立てる意見もあるようです。
オノ・ヨーコ 「ひきこもりは現代の禅僧侶」
http://news.mynavi.jp/news/2007/12/10/004/
どこかの校長先生 「ひきこもりではなく、修行僧」
http://www.at-mhk.jp/chairmanblog/post_505.html
まあ、たしかに「外界と遮断されたところで、俗世とまじわらず生きる」という意味では、修行僧のようにみえなくもないですが、それは表面的なところをかすっているだけだと思うのは、武庫川散歩だけではありますまい。
ではまず、「ひきこもりと(出家)修行僧の違い」についてきちんと説明してみましょう。
俗世と離れている、という点ではたしかに両者とも、一般の世界と交わろうとはしませんが、その目的が大きく異なります。
修行僧の目的は、解脱して悟りを得ることです。すべてのものから解き放たれることです。
即身成仏系の仏教においては、そのまま何も摂取せずに生きながらにしてミイラ化することを意味する場合もあります。
引きこもりが、俗世との交わりを絶って、生きながらにミイラ化していることがあるとすれば、それは確かに「修行僧」と近いかもしれませんが、たいていの場合、そういう引きこもりはいません。
もし、すべてから開放されて、にこやかに心の満足のままに引きこもっている人がいたら、それはたしかにホトケへの道を進んでいるといえるでしょう。
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さて、お金を稼ぐ稼がないの視点でいえば、あまり修行僧とひきこもりを比較する意味はありません。国家や檀家による守護を受けながら、他者からのお布施で生きている修行僧と、お父さんやお母さんの守護を受けながら、実家からの金銭で生きているひきこもりは、あまり本質的に変わらないからです。
そういう意味では、他者から施されて生きる生き方をはじる必要はないと思います。
もし、引きこもりが恥ずかしいと思っているあなたがいれば、今すぐ「この引きこもり行動は即身成仏のためであって、このまま部屋から出ないで死ねば、この世界の哀れな衆生が救われるのだ」と思いなおして、鈴を鳴らしながらネットをするのもいいでしょう。
「ああ、一階の電話のよこにある、ルーターのLEDがチカチカしなくなった、ついに息子は成仏して解脱したのね」
とお母さんに思ってもらうのも、なかなか感きわまるものがあります。
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まあ、そんなことはありえません。なぜなら、引きこもりの方の心について、そうした見立ては完全に間違っているからです。
では、「引きこもり」とは何なのか。その真の姿について問うてみることにしましょう。
引きこもりの方の特徴は以下のようなものです。
① 外の世界で何か傷つくことがあって、その傷を勇気で克服することができない。
② もし努力して外部とコミュニケーションをとろうとしても、既にマイナスの判断をされるだろうと予想している。
③ 理想の姿の自分と、現在の自分の姿の乖離について十分理解している。
④ 基本的には繊細であり、自我を通すことが得意ではない。
⑤ 長期化すればするほど、復帰の道がどんどん狭くなることも理解している。
つまり、簡単にいえば、「ひきこもりの状態が長引けば、いろんな意味で損であることを承知の上で、しかしながらそれ以上の逆回転にもってゆくための方策を見つけられない人たち」だということです。
ぶっちゃけ、履歴書に空欄の期間があり、他者とコミュニケーションできず、何か核心を付かれるとしどろもどろにならざるを得ない状況で、それに傷つかずに跳ね除けることができるのは
変態
以外の何者でもありません。
例を挙げて考えて見ましょう。
ある会社で偽の出張を繰り返して、特に城之崎に何度も行って、それが表ざたになったために号泣して釈明しているシーンがテレビで流されてしまった会社員がいる
とします。彼が、ほとぼりが冷めるまでしばらくどこかに身を隠していたとして、再就職のために面接に訪れたと考えてください。
「ところで、前職は何をなさっていたのですか?もしさしつかえなければ、おやめになった理由をお聞かせください。」
もうこの時点でグサグサ傷つくに決まってます!
「しばらくお仕事されていない期間があるようですが、どうされていたんですか?」
さらにグウの根もなくグサグサくるに決まってるでしょう!
・・・すでにこの時点で、面接官の目など見ることなんて不可能です。まともな人なら。
とまあ、こんな感じで、ふつうはひきこもりに陥ってしまったあと、挽回するのには大変な労力がかかるわけです。
いわゆる「あなた・わたしの尊厳にかかわる部分をえぐられても耐える」という虐待プレイを跳ねのけねばならないわけです。
「いやあ、前職ではちょっとやらかしてしまいましてね!ええ、なんてことはないんですよ。この会社でも元気に明るくはつらつと頑張っていきますので、よろしくお願いします!」
と笑顔で面接を受けられたとしたら、ぜったいにこいつは変態ですので間違いありません!
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現代において、引きこもりを脱出するには、引きこもり当事者に「変態になること」を要求するというムチャなプレイであることを理解いただけたでしょうか?
グサグサくるあなたへのツッコミに耐え、あるいはうまくかわし、そしてそれを超えるようなポジティブさを表現して内定を勝ち取らねばなりません。
あるいは、無事就職したとしても、「以前は何してはったんですか?」という同僚の何気ないことばに傷つき、おびえ、またそれをはぐらかしながら生きていかねばならないわけです。
これは、永遠に続く無限地獄に相違ありません。ああ、いっそそれくらいなら、家でひきこもって餓死したほうがよほどマシかもしれない、ということなのです。
さすがに、号泣会社員は例として飛びぬけているかもしれませんが、引きこもりになる人は、号泣ほどではないにしろ、何かしらの失敗や歯車の噛み違いを起こして引きこもりに突入します。
一般人にとって、それは取るに足らないことかもしれないけれど、ヒキコモラーにとっては、それは号泣会見に匹敵するような黒歴史だったりするわけです。
そこは、理解が必要でありましょう。
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しかし、そうはいっても、だからといって悟りを開いた武庫川散歩は、「ひきこもりを許したり」はしません。
ええ、一切許さず、成敗するのです!
どういうことか?!
さっき示したように、引きこもりに苦しむ人に「変態になれ」と強要するつもりなのでしょうか?
違います。ぜんぜん、違います。
解脱の観点からいえば、最初の時点からボタンを掛け違っているし、認識を間違っているのです。
解脱者は、このように考えます。
そもそも、この世界に起こっていることは無常でどうでもいいことである。
ワタシ・アナタという存在も、さらにもうなんかどうだっていい存在である。
頑張るも頑張らないも恥ずかしいも傷つくもクソもない、ニュートラルな存在なのである。
そもそも、どうでもいいのだから傷つかないし、失敗を失敗と捉えるのは俗世の欲である。
なので、失敗したら恥ずかしいとかそんな気持ちにすらならない。
理想の姿とかも、俗世の欲が生み出した幻である。だれもが清濁併せ持つクソ野郎である。
自分の意見があるとかないとかも、まやかしの一種で自己満足に過ぎない。
履歴書に空白があることが悪だと誰が決めた?それは神か?少なくとも仏にとってはどうでもいい。
前職をクビになってたっていいじゃないか、にんげんだもの。諸行無常なんだYO!
そう、変態になれというのではなく、最初から飛び越えているのです。言って見れば、最初から変態だったので、困らないのです!!
・・・冗談はともかく、ひきこもりの方が抱いている感情の根底にあるのは、
「破壊されたくない自尊心」
にあると言っても過言ではありません。そう、彼らが守ろうとしているのは、
「自己の尊厳」
そのものなのです。
これは、仏教的には、かなりの強欲です。煩悩そのものといってもいいくらいの悪です。
専門的には「慢」というそうですが、
慢
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%A2
実は、引きこもりの人が恐れているのは、自分の心にひそむ醜い姿そのものだったりするわけです。
だから、一刻も早く、そうした慢心を捨て、ニュートラルな姿に戻ってください。
もし、無職で親に食べさせてもらっていたのであれば「さあ、そろそろ不労所得も終わりかな」とつぶやいてドアを開けて外へ出ましょう。
無業期間について尋ねられたら「旅に出ていました」と答えたらいいじゃないですか。
人と目をあわすのが嫌だったら、そいつのまつげと目を合わせてください。
動きがたどたどしければ、いっそカクカクしながら「だめよーだめだめ」とつぶやけばOKです。
理想の自分なんて捨ててしまいましょう。鏡に向かって「このクソ野郎!」と叫ぶのです。
では、外界でお会いしましょう。
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