2017年1月16日月曜日

【勝手に人生相談シリーズ 16】コスプレが辞められません!いつになったら引退すべきなのでしょう。




 新しい年を迎えてもワクワクすることが少ない、人生に解脱した男、武庫川散歩です。

 悟りを開くと、苦しみや欲望から解放されて、自由になったり幸福になったりすると思っていましたがなんのことはない、



 心がインポになった



みたいなものです。穏やかなる暮らしは、まさしく枯山水。


 健やかなるみなさんは、多少の欲望と妄想にウホウホしてるくらいのほうが、幸せかもしれませんよ。なーんて。



 さて、新年そうそう「帰ってきた勝手に人生相談」のコーナーで楽しんでいただきたいと思います。


 このコーナーは、解脱者・武庫川散歩のもとに寄せられたりすることのない人生相談を勝手に設定し、勝手に回答するという前代未聞のシリーズですが、意外と大人気のようです。しらんけど。





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Q 『もうすぐ35歳になる女子です。十代の頃からアニメや漫画が好きで、勢いあまってコスプレに挑戦したりした結果、写真を撮られたりシュチュエーションを演じたりすることにすっかりハマってしまって、今に至ります。

 とはいえ、20代の頃から、何度ももうコスプレを辞めようという気持ちに苛まれてきました。十代の頃には、「25歳も過ぎてコスプレやっているおばさんはイタイ」と友達ともずっと話してきたし、「その年齢で他にやることないのかよ」と蔑む気持ちもありました。

 また、コスプレでできた友達や知り合いは、互いに「○○ちゃんかわいい」と誉めそやすことはあっても、本心では、「私のほうが可愛いわよブス」と誰もが思いながら、バカにしているような人が多く、心を開くことなんてできません。

 どちらかと言えば、定期的にそうした人間関係が嫌になって鬱になるくらいなので、本当に自分でも辞めてしまえばいいのに、と思います。

  でも、結局、自分の自己顕示欲を満たすだけの行為だとわかりながら、辞めることができないでいます。

 私は衣装も自分で作ったりするのですが、物作りが好きだったり、そうした気持ちまで否定するのは逆に違うような気もします。』




 はい。というわけで35歳女子さんからの人生相談。コスプレイヤーだそうです。


 コスプレをする人を「レイヤー」と言うのですが、この言葉をぱっと聞いてどういう反応をするかでその人のふだんの仕事ややってることが全く違う、というのは面白い単語ですね。


 ”レイヤー”と聞いて、


「一時期流行しましたよね〜。最近はまたパッツンとかストレート系とかが戻ってきてますけど」


と言う人は、美容師さんですね。


「えー?誰それさんだったら男装とか似合いそうですう!今度合わせやりませんかあ」


とか、語尾を母音で話す人は、コスプレする人です。



「CAD?GIMP?CSのバージョンは?」


とかわけのわからんことを言う人は、デザイナーさんもしくはコンピュータのお仕事をしています。





 ・・・もとい。



 コスプレの賞味期限というのは、誰が決めるべきことなのかなんて正解はありませんので、おばあちゃんが紫の髪をしていいのか悪いのかくらい、いつまでどうやろうと勝手だとは思いますが、武庫川的には、「35歳レイヤー」さんの心の叫びが気になるところです。



 つまり、10代の子にバカにされながらやる30代のコスプレというのは、基本的には


「美しさや若々しさの優劣を競う女子同士のマウンティング」


なわけで、10代の子は金もなくポーズもぎこちなく、ましてやいいカメラも持っていないので「若さ」を全面に押し出さざるを得ないわけです。



 逆に30代ともなれば、衣装の布代だってお金をかけられるし、小道具にもこだわれます。それなりの雰囲気の場所を借りるお金だってあるでしょうし、ポーズも年季が入ることでしょう。



 しかし、だからと言って、10代のレイヤーよりも30代のレイヤーのほうが「総じて満足度が高いか」といえば、そうではないことが多いと思います。



 なんでか?



 それは、すべてのレイヤーさんが感づいていて、そして恐れている通り、



「この表現活動で得られる評価や賞賛は、内側に閉じているもので、外側に開いていない」


からでしょう。


 あるいは、 特に年齢を重ねてくればくるほど



「これに費やしている時間や労力が、他の活動に向かっていたら存在していたであろう別の自分との対比」



が悩ましく思えてくるからなのではないでしょうか。



 例えば、仕事で成果を上げているかもしれない別のあたし。結婚しているかもしれない別のあたし。子育てをしているかもしれない別のあたし。何か外部に開かれた活動で認知されているあたし。



 そうした「パラレルワールドのわたし」に対して、「レイヤーのあたし」を卑下する気持ちが少しでもあると、それは心がしんどくなる元凶となりかねません。





 解脱者武庫川からすれば、コスプレ活動は「趣味」なのですから、好きにしはったらいいと思います。


 下手な将棋をいつまで続けていても、趣味であれば一向にかまわないし、それが公に開かれたものでなくても全然OKのはずです。

 料理好きが趣味であれば、いくつになっても辞める必要がないし、となりの奥さんより美味しかろうが、究極まずくて負けていようが、どうってことはありません。




 とすると、レイヤーさんの心にある「もやもや」の正体は、何なのかが明らかになってくるわけです。


 そう!



「もしかして、あたしは『これ』だけでしか、自己を表現したり、体現したりすることができないのではないのか?」

 
という恐怖です。



 趣味の将棋や料理で「自分を表現したり立ち位置を確認する」ことはまずないでしょう。


 しかし、レイヤーはそれをコスプレ活動の中でやりがちです。


 わたしはかわいい、とか。 誰それよりうまい、とか。




 自己顕示欲とはつまり、
 
「自分の立ち位置の確認作業」


ですから、 「妻」とか「母」とか、「会社でのポジション」とか「社会的評価」とかそういう他の人の立ち位置と比較して悲しくなるし、レイヤー同士でのマウンティングに発展してしまうのです。




 立ち位置確認の自己顕示欲と結びついた場合、コスプレ活動はずっとあなたをどこかで苦しめますから、一つにはそれと切り離して



「純粋に楽しむことができるかどうか」



がポイントになるでしょう。逆に、あなたがコスプレを通じて、誰かとのポジション争いを確認することで心の平穏を得ているのであれば、


 「コスプレよりも、あなたにとって価値のあるポジションに移行したほうがいい」


 と助言いたします。


 たとえ、それがライバルとのママ友争いであっても、子供が産める年数は限られているので、そちらへ移行したほうがマシです。


 あるいは婚活にいそしむとか、仕事をもうちょっと頑張るとか、そっちのほうが成果を得た気持ちは大きくなることでしょう。




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 ですが、コスプレをする人の多くは、そうした「開かれた世界でのポジション取り」においては



自信がない



ことが多いのだと思います。 そもそも、違う場面での自己顕示欲が満たせない、敵わないと察知しているので、コスプレという場に引き寄せられることもあるのでしょう。



 そういうあなたを強制的に現実に引き戻し、こっちの世界で生きていかざるを得なくする魔法の呪文があります。


 もう、逃げられません。



 では、呪文を唱えましょう。



「ほうれい線が目立ちはじめたら、もうレイヤーは、やめ時!」



 ああああああ!これだけは言われたくなかった!!!!!


ほうれい線が!!!!!目尻にしわが!!!!!


・・・早く目を覚ましなさい。




















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