突然ですが、わたくし、実家に帰らせていただきます!
……ということで、うちの奥さんが子供たちを連れて実家に帰ってしまった(夏休みですもの)ので、解脱者は朝っぱらから早起きして、全員を車に乗せて空港まで連れていったのは良かったのですが、朝7時台には解放されてしまいました。
はて。
この貴重なる一人っきりの休日をいかにして過ごそうか。
と考えた挙句そのまま映画を見に行きました。
なんといっても10日もしたらヤツラは帰ってきてしまうので、仕事のない休日を一人で過ごせるのは今日と次の日曜しかないため、ここは時間を無駄にはできません。
本来であれば妻がいないことをよいことに、かわゆい彼女とデートでもしたいところなのですが、かわゆい彼女がいないので一人寂しく映画館へ直行。
ええ、観てきましたとも。今世紀最大の話題作!
「カメラを止めるな!」
でございます。
http://kametome.net/index.html
もはや説明の必要はございますまい。
低予算、低知名度、のスタッフと俳優さんが、「こうきたか!」のアイデアで魅せる超快作!いや怪作?!
すでに全国上映が広まりまくり、解脱者ムコガワの住む関西でも上映があると聞きつけて車を空港からそのまますっとばしましたとも。
というわけで、以下感想を。
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端的に言って、面白いです。映画館で1800円出しても満足できます。けしてDVDを待つ必要はありません。今すぐ映画館へ!満足感大!
物語の詳細は、ネタばれで説明しようと思えば可能なのですが、なんというか
「まるっとごりっと全体を通してネタばれだ」
みたいになるので、まるっと全部説明しないとネタばれにならない構造のため、ここはあえての割愛。むしろ、ネットでも多くの方が評しているように
「何にも事前知識がないほうが絶対面白い!」
ということは確かです。ノイズゼロで見たほうが、面白いです。
ということで、ここでは物語の詳細は何も言いませんが、ざっくりとどんな映画かと言えば、
「ゾンビ映画というスタイルを借りたコメディ」
とか
「ゾンビ映画というスタンスで描いたコント」
とか、そういうことになりましょうか。
恐怖あり、涙あり、笑いあり、と言いたいところですが、 恐怖はまあ、それなり。あとは全部笑いです(笑)
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ところで、この映画、解脱者ムコガワとしてはたいへんに、めちゃくちゃ、とっても面白かったのですが、いちおうその昔「映像作家」の切れ端のようなことをやっていた身としては、いろいろ違うところで思いを馳せながら見ていたので、純粋にこの映画を楽しめたか、と問われると、
「途中で、いろいろ考えるところがあって、たぶん、スカッと笑えなかったなあ」
という感想があるのも事実。いやいや、監督やスタッフ、演者さんに嫌な気持ちになってもらうための感想ではなく、あくまでも製作者サイドのお話ですとも。
そこで、映像屋さんとしてみた場合の、副音声での「カメラを止めるな!」の見所について、感想をメモっておこうと思います。
1)37分の長回しに喝采!
漠然とした知識で、「ワンカット撮影」があるらしいくらいのイメージで望んだ上映でしたが、はじまって数分で、
「これ、まじでカメラ回り続けてるやん!」
ということに気付くムコガワ。いや、それは最初からそう謳われているんだけど、実際にノンストップカメラ回しを見ていると
「い、いまこれで何分ぐらい経った?!」
とそっちのほうばっかり気がかりで、集中できない!!!のでありました。
いや、ほんとにすごいですね。役者さんから見れば、舞台経験がある人なんかは、一発テイクの連続演技は「これは舞台だ!」と思えば、やれるっちゃあやれるのですが、カメラは動き、アングル、演者への追従などがあるわけで、実際に長回しをしているところは素直に「これはすごい!」と感心です。
2) 映像あるあるが小ネタに
監督さんが意図した演出によって、後半場内は爆笑の渦に包まれるわけですが、映像業界にいない人からみて「ああ、面白いなこのネタ」と感じられる箇所と、映像業界をかじっていた人からみて「ああ、これあるある!」と感じられる箇所がまんべんなくちりばめられているので、ムコガワとしては
「いま、自分は観客側にいて笑ったらいいのか、スタッフ側にいて笑ったらいいのか、瞬間戸惑う」
ことがありました。受け手によって笑いの質がちょっと変わってしまう、ということがこの映画の深さでもあるし、逆に言えば、
「ああ、純粋に観客として観たかったなあ!」
という気持ちもあるわけで。楽しみたかった!!!
技術面でも、気になってしまう部分があって、具体的にちょっとだけ書くと、最後の最後で真魚ちゃんがカメラを持ってとある場所へ上るんだけれど、
「その角度で持ってたら、あのシーンではあんなふうに引き絵が映らん」
ということなどがムコガワ的には、気になってしまうのでそこらへんがもう少し丁寧さがほしかった気もします。
これもネタばれ気味ですが、エンドロールまでしっかり見ると実は
「カメラを止めるな!」は二重構造と見せかけての三重構造になっている
ことがわかります。 むしろ、絵作りをしているのは3重構造の3層目の部分なんですね。真魚ちゃんがいるのは2層目なので、そこでも実際の動きとの差があることが答え合わせとして示されます。
この辺は、あの形のエンドロールがあって大正解だと思います。
3)「カメラを止めるな!」か、それとも「涼宮ハルヒの憂鬱」か
今回の「カメラを止めるな!」の脚本、構成、演出、そして計算はまさしく拍手喝采だし、すばらしいのだけれど、実は
「この着想がどこまで前代未聞か」
ということについては、 これからいろいろ映画好きのみなさんが評価する部分だと思います。
2重構造(入れ子構造)そのものは目新しくはないし、素人ホラーのテイストも、これまでもモチーフがいろいろ既にあります。
低予算映画とホラーは、もともと相性がいいので「ブレア・ウィッチ・
低予算成り上がり映画
の金字塔かもしれません。
しかし、ムコガワ個人としては、これと似たようなことを既にやっている「涼宮ハルヒの憂鬱」の監督や演出である石原立也・山本寛、両氏に敬意を表したいところです。
涼宮ハルヒの憂鬱、アニメ版第一期では、まず「朝比奈ミクルの冒険」という低予算映画(らしきもの)をドン!と持ってきて、その続きの週の放送でネタばらしをするという構成になっています。
朝比奈ミクルの冒険でも「低予算らしさ」「プロではない素人っぽさ」「カメラ・映像が乱れる様子」などが多様されており、なおかつネタばらしの回では
「実は宇宙人や異星人や未来人があんなことやこんなことになってたのだ!」
というあたりを回収しています。
それを「アニメで始めて再現した」のがハルヒの凄さで、おなじことを「37分長回しで再現した」のがカメラを止めるな!の凄さかもしれません。
「カメラを止めるな!」のあとは、↑こちらもぜひ。
ちなみに、今回の映画でムコガワは真魚ちゃんのファンになりました。いや、『おしり』も気になったけれどもさ。(ちゃんちゃん)
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