2018年2月14日水曜日
科学があれば、宗教はいらない ~脱科学時代のメンタル論~
いつものようにビジネス記事を読み漁っていて、ふと面白いなあというフレーズに出会ったので紹介しようと思います。
とはいえ、なぜそもそもビジネス記事なんて読んでるかというと、そりゃあ解脱者ムコガワは、世を忍ぶ仮の姿でビジネスの最前線を進んでいるからに他なりません。会社は赤字だけど。
ほんとうに近年の業界の縮小振りには恐怖を感じるほどです。どこがいったい好景気なんだか。
それはさておき。もとい。
「サピエンス全史」実はギャグだらけ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54351
人類とは何かを解き明かす「サピエンス全史」という本が売れているらしく、その紹介がてらの記事だったのですが、いくつかツボな表現があったのでズキュンときました。
『科学があれば、人類は宗教がなくても生きていけるのだ』
『宗教は世界の成り立ちを物語でしか説明できなかった』
なるほど、現代において宗教がこれほど軽んじられたり、忘れられたりするのはまさしく科学のヤツがでしゃばってきたからなのですね(笑)
さて、記事本編は宗教とは離れて、人類と科学の歴史の歩みに向かって行くのですが、それはのんびり読むことにして、ここでは
「科学ですべてが説明でき、なんでも理解できるはずの現代において、なぜ人は心を病むのだろう」という点を考えてみたいと思います。
科学があれば、宗教はいらないはずなのに、私たちの心はけしてすっきりくっきりしていないのは、一体なぜだというのでしょうか。
実はその答えも、またこの「サピエンス全史」の中にあったりします。この記事の前編を読んでみましょう。
『サピエンス全史』を途中で挫折した人に教えたい本書の読み方
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54351
ここでも、解脱者ムコガワの心を掴むフレーズが何度も出てきます。
『人類が他の種を圧倒することになったのは「虚構を信じられる力」を持ったから』
そして
『 「万人は平等に造られており、奪うことのできない特定の権利を造物主より与えられており、その権利には、生命、自由、幸福の追求が含まれる」というのはただの想像』
なのです。
そう!恐らく多くの現代人が取り付かれ、迷い悩み苦しんでいるのは、
現実に今そこにある飢餓でもなく、戦争や押し寄せてきている津波でもなく、ましてやあと数秒後にぶちあたろうとしている暴走車や襲い掛かってくる野獣ではない
ということなのです。
そう。少なくとも現代日本人の99.9%は、現実問題としての危険や危機ではなく漠然とした想像による不安感にさいなまされているに過ぎません。
そして、じゃあ実際のヒトの姿はどういったものなのか、と現実をつきつけるならば、それはサルもヒトも
自己の欲望や欲求、あるいは種の伝達を第一に生きる快楽を追求する生命
に他ならないわけですから、そりゃその特徴を持ったもの同士がぶつかれば、軋轢が生じる、というわけです。
その軋轢を避けて、少なくとも表面上は円滑に過ごすためには、これまた引用ですが、
「虚構を信じる力」によって「想像上の秩序」を打ち立てた人類は、秩序を保つために膨大なルールとデータを扱わなければいけなくなった
ということになります。虚構のために虚構のルールを作ったのですね。
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仏教が面白いのは、こうした人類が作り出したものを「空である」と喝破したところにあるでしょう。
そういう意味では、仏教は宗教というよりやはり哲学に近いものがあります。なんといっても仏教は、世界の成り立ちを説明せず、すっとばして無視しているからです。
世界がどのように成り立っているかはどうでもいいことであり、そもそも全部「ない」のだ、という主張なのですから!
さて、翻って現代の私たちは、宗教を失い、そして科学も「あなたを幸せにはしてくれない」ことに気付きはじめています。
どうやら科学は人類をずいぶんと快適にはしてくれるかもしれませんが、
「あなたがありもしないことを妄想することを否定することはしてくれないし、なぐさめてもくれないし、抱き寄せてもくれない」
からです。解脱者ムコガワは、いまだかつて科学に頭をなでてもらったり、科学にキスしてもらった人を見たことがありません。
(むしろ、ラジウムを舐めて死んだ時計板女工の話に戦慄するほどです)
そういう意味では、科学万能の現代だからこそ、その科学技術を含めて、この世界が妄想のようなものだ、と達観することが必要なのではないか、と思います。
ipodもウォークマンも、蓄音機も、たいしてかわんねーじゃねえか。俺は音楽が聴けたらどれでもいいわい。どうせ一時の慰みに過ぎないのだから
くらいの感覚を持つことが、一番気楽なのかもしれません。
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